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2015年8月21日更新 | 一般財団法人 日本税務協会

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(1)

はじめに

 平成27年度税制改正においては、現下の経済情 勢等を踏まえ、デフレ脱却・経済再生をより確実 なものにしていくため、成長志向に重点を置いた 法人税改革、高齢者層から若年層への資産の早期 移転を通じた住宅市場の活性化等のための税制上 の措置を講ずるとともに、人口減少克服と地方創 生に取り組むため、企業の地方拠点強化、子ど も・子育て支援の充実等のための税制上の措置を 講ずることとされました。また、経済再生と財政 健全化を両立するため、消費税率の10%への引上 げ時期の変更等のための税制上の措置を講じ、さ らに、BEPSプロジェクト等の国際的取組を踏ま

え、国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和 に向けた税制上の措置を講ずることとされました。 このほか、震災からの復興を支援するための税制 上の措置その他所要の税制上の措置を講ずること とされました。

 このうち法人税関係(国際課税関係を除きま す。)については、デフレ脱却・経済再生をより 確実なものにしていくため、企業収益の拡大とと もに、賃金の上昇や雇用拡大によって消費の拡大 や投資の増加を通じて更なる企業収益に結び付く という経済の好循環を目指し、企業が収益力を高 め、賃上げにより積極的に取り組んでいくように 促す観点から、地方税とともに、課税ベースの拡 大により財源を確保しつつ、経済の好循環の実現

目    次

一 法人税改革(基本的考え方)���� 319 二 法人税率の引下げ��������� 320 三 欠損金の繰越控除��������� 322 四 受取配当等の益金不算入������ 338 五 退職年金等積立金に対する法人税(特

別法人税)������������� 349 六 その他�������������� 354 1  公共法人の範囲��������� 354 2  収益事業から除外される事業の範囲

等���������������� 355 3  受取配当等の益金不算入及びみなし

配当等の額������������ 357 4  役員給与の損金不算入������ 363 5  寄附金の損金不算入������� 365 6  工事負担金で取得した固定資産等の

圧縮額の損金算入��������� 366 7  不正行為等に係る費用等の損金不算

入���������������� 367

8  繰延ヘッジ処理による利益額若しく は損失額の繰延べ又は時価ヘッジ処理 による売買目的外有価証券の評価益若 しくは評価損の計上�������� 369 9  借地権の設定等により地価が著しく

低下する場合の土地等の帳簿価額の一 部の損金算入����������� 380 10 資産に係る控除対象外消費税額等の

損金算入������������� 382 11 特定同族会社又は連結特定同族会社

の特別税率(留保金課税)����� 385 12 青色申告の承認の取消し及び連結納

(2)

を力強く後押しするために税率を引き下げる改革 が行われました。この法人税改革により、国・地 方を通じた法人実効税率を34.62%から、平成27 年度には32.11%に、平成28年度には31.33%に引 き下げるとともに、欠損金の繰越控除制度の見直 し、受取配当等の益金不算入制度の見直し等が行 われました。このほか、円滑かつ適正な課税を実 現するため、手続きの簡素化等の所要の見直し等 が行われました。

 これらの改正を含む「所得税法等の一部を改正 する法律」は、去る 3 月31日に参議院本会議で可 決・成立し、同日に平成27年法律第 9 号として公 布されています。また、次の関係政省令等もそれ ぞれ次のとおり公布されています。

・ 法人税法施行令等の一部を改正する政令(平 27. 3 .31政令第142号)

・ 地方法人税法施行令の一部を改正する政令 (平27. 3 .31政令第143号)

・ 復興特別法人税に関する政令の一部を改正す る政令(平27. 3 .31政令第153号)

・ 法人税法施行規則の一部を改正する省令(平 27. 3 .31財務省令第23号)

・ 減価償却資産の耐用年数等に関する省令等の 一部を改正する省令(平27. 3 .31財務省令第38 号)

・ 法人税法施行規則の一部を改正する省令(平 27. 4 .15財務省令第46号)

・ 地方法人税法施行規則の一部を改正する省令 (平27. 4 .15財務省令第47号)

・ 復興特別法人税に関する省令の一部を改正す る省令(平27. 4 .15財務省令第49号)

・ 法人税法別表第一独立行政法人の項の規定に 基づき、法人税を課さない法人を指定する件の 一部を改正する件(平27. 3 .31財務省告示第102 号)

・ 法人税法別表第二独立行政法人の項の規定に 基づき、収益事業から生じた所得以外の所得に 対する法人税を課さない法人を指定する件の一 部を改正する件(平27. 3 .31財務省告示第103号) ・ 寄附金控除の対象となる寄附金又は法人の各

事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入 する寄附金を指定する件の一部を改正する件 (平27. 3 .31財務省告示第104号)

一 法人税改革(基本的考え方)

 これまでも法人税制においては、デフレ脱却・ 経済再生に向け、投資減税措置等や所得拡大促進 税制の拡充に加え、復興特別法人税の 1 年前倒し での廃止など、民間投資と消費の拡大及び賃金の 引上げに向けた取組を行ってきました。こうした 取組もあり、景気は緩やかな回復基調が続いてい ますが、今後、デフレ脱却・経済再生をより確実 なものにしていくため、平成27年度税制改正にお いては、経済の好循環の実現・確立を目指し、課 税ベースの拡大とともに税率を引き下げる法人税 改革を行うこととされました。

 今般の法人税改革は、欧米各国も行ってきたよ うに、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げ る」ことにより、法人課税を成長志向型の構造に

変えることを目指すものとされています。すなわ ち、一部の企業に税負担が偏っている状況に鑑み、 より広く負担を分かち合い、「稼ぐ力」のある企 業等の税負担を軽減することで、企業の収益力の 改善に向けた投資等がより積極的になり、それが 成長につながっていくように、法人課税の構造改 革を行うというものです。この改革を通じて、企 業が収益力を高めれば、継続的な賃上げが可能な 体質となり、より積極的な賃上げへの取組が可能 になると考えられています。

(3)

事業税について、大法人に適用される所得割の税 率の引下げと大法人向けの外形標準課税の拡大が 行われることで、法人実効税率が、34.62%から、 平成27年度には2.51%引き下げられて32.11%に、 平成28年度には3.29%引き下げられて31.33%にな ります。

 なお、経済の好循環の流れを全国的に広げるよ う取り組んでいる状況を踏まえ、地域経済を支え る中小法人への影響に十分配慮する観点等から、 本年度税制改正においては、中小法人課税につい ては、特段の見直しを行わないこととされていま す。

二 法人税率の引下げ

1  改正の経緯及び趣旨

 法人税率は、平成以降、累次にわたって引き下 げられてきており、近年では、平成23年度税制改 正や平成26年度税制改正(復興特別法人税の前倒 し廃止)において引下げが行われましたが、国際 的に見ると我が国の法人実効税率はまだ高い水準 であるとの指摘があります。他方、我が国の法人 課税の負担は諸外国と比較して必ずしも高くなく、 これは、税率が高いとの指摘がある一方で、税収 を構成するもう 1 つの要素である課税ベースが狭 いことによるものと考えられます。

 こうした中、昨年 1 月のダボス会議における安 倍総理の演説を契機に、政府税制調査会等におい て法人税改革に係る議論が重ねられ、「経済財政 運営と改革の基本方針2014」(平成26年 6 月24日 閣議決定)においては、課税ベースの拡大等によ り財源を確保しつつ、数年で法人実効税率を20% 台まで引き下げることを目指すこととされました。

(注) この法人税改革の基本的な考え方については、 前述の「 法人税改革(基本的考え方)」をご 参照ください。

 本年度は引下げの初年度に当たり、平成27年度 税制改正においては、先行減税分を含めて、法人 実効税率を3.29%(平成27年度は2.51%)引き下 げることとされています。

2  改正の内容

 上記1を踏まえ、法人税の税率(いわゆる基本

税率)について、23.9%(改正前:25.5%)に引 き下げられました。この国税における法人税率の 引下げに加え、地方税の法人事業税所得割の税率 について4.8%(改正前:7.2%)に引き下げられ ることにより、法人実効税率は、31.33%となり ます。この法人実効税率の引下げは中小法人にも 恩恵があります。

(注) 平成27年 4 月 1 日から平成28年 3 月31日まで の間に開始する事業年度にあっては、法人事業 税所得割の税率が6.0%に引き下げられ、法人実 効税率は32.11%となります。

 なお、中小法人、公益法人等、協同組合等につ いては、いわゆる軽減税率(19%等)が適用され ますが、この軽減税率については、今般の平成27 年度税制改正において特段の見直しが行われない こととされています。また、租税特別措置法にお いて措置されている軽減税率の特例(19%⇒15% 等)は、平成27年 3 月31日をもって適用期限が到 来していましたが、こちらの特例についても維持 することとされました。すなわち、軽減税率の特 例について、その適用期限が平成29年 3 月31日ま で 2 年延長され、平成27年 4 月 1 日から平成29年 3 月31日までの間に開始する事業年度について、 引き続き適用することとされています。

(4)

区分

改正前 改正後

年所得 8 0 0 万 円以下 の部分

年所得 8 0 0 万 円以下 の部分 中小法人以外の普

通法人 25.5% ― 23.9% ― 中小法人、一般社

団法人等及び人格 のない社団等 25.5%

19%

(15%) 23.9%(15%)19%

公益法人等、協同 組合等及び特定の

医療法人 19% (15%) 19% (15%) 特定の協同組合等

の特例税率 22% 22%

(注 1 ) 中小法人とは、普通法人のうち各事業年度 終了の時において資本金の額若しくは出資金 の額が 1 億円以下であるのもの又は資本若し くは出資を有しないものをいい、次の法人は 除かれます(法法66②⑥)。

・ 相互会社

・ 大法人(資本金の額又は出資金の額が 5 億円以上である法人、相互会社、外国相互 会社及び法人課税信託に係る受託法人をい います。)との間にその大法人による完全支 配関係がある普通法人

・ 普通法人との間に完全支配関係がある全 ての大法人が有する株式及び出資の全部を その全ての大法人のうちいずれか一の法人 が有するものとみなした場合においてその いずれか一の法人とその普通法人との間に そのいずれか一の法人による完全支配関係 があることとなるときのその普通法人 ・ 投資信託及び投資法人に関する法律に規

定する投資法人

・ 資産の流動化に関する法律に規定する特 定目的会社

・ 法人課税信託に係る受託法人

(注 2 ) 認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組

合法人、法人である政党等、防災街区整備事 業組合、特定非営利活動法人、マンション建 替組合及びマンション敷地売却組合について は、中小法人、一般社団法人等及び人格のな い社団等の税率が適用されます。

(注 3 ) カッコ内は、租税特別措置法の中小企業者 等の法人税率の特例(措法42の 3 の 2 )によ る税率です。

 連結納税制度について、各連結事業年度の連結 所得に対する法人税の税率が、次のとおり引き下 げられました(法法81の12、措法68の 8 、68の 100、68の108)。

区分

改正前 改正後

年所得 8 0 0 万 円以下 の部分

年所得 8 0 0 万 円以下 の部分 中小法人以外の普

通法人 25.5% ― 23.9% ―

中小法人 25.5%(15%) 23.9%19% (15%)19%

協同組合等及び特

定の医療法人 20% (16%) 20% (16%) 特定の協同組合等

の特例税率 22% 22%

(注) カッコ内は、租税特別措置法の中小企業者等 である連結法人の法人税率の特例による税率で、 平成24年 4 月 1 日から平成29年 3 月31日までの 間に開始する各連結事業年度について適用する こととされています(措法68の 8 )。

3  適用関係

(5)

三 欠損金の繰越控除

1  改正前の制度の概要

⑴ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰 越し

 法人の各事業年度開始の日前 9 年以内に開始 した事業年度で青色申告書を提出した事業年度 において生じた欠損金額(以下「青色欠損金 額」といいます。)がある場合には、その青色 欠損金額に相当する金額は、欠損金額控除前の 所得の金額の100分の80相当額を限度として、 損金の額に算入することとされています(法法 57①)。ただし、中小法人については、欠損金 額控除前の所得の金額を限度として、損金の額 に算入することとされています(法法57⑪)。

(注) 中小法人とは、各事業年度終了の時におい て次の法人に該当する法人をいいます(法法 57⑪、58⑥、 措 法67の14②、67の15③、 法 令 14の10⑥)。

① 普通法人のうち、資本金の額若しくは出 資金の額が 1 億円以下であるもの又は資本 若しくは出資を有しないもの。ただし、次 の法人を除きます。

イ 大法人(次の法人をいいます。)との間 にその大法人による完全支配関係がある 普通法人

・ 資本金の額又は出資金の額が 5 億円 以上である法人

・ 相互会社及び外国相互会社 ・ 法人課税信託に係る受託法人 ロ 普通法人との間に完全支配関係がある

全ての大法人が有する株式及び出資の全 部をその全ての大法人のうちいずれか一 の法人が有するものとみなした場合にお いてそのいずれか一の法人とその普通法 人との間にそのいずれか一の法人による 完全支配関係があることとなるときのそ の普通法人

ハ 相互会社 ニ 特定目的会社 ホ 投資法人

ヘ 法人課税信託に係る受託法人

② 公益法人等又は協同組合等。なお、法人 税法以外の法律によって公益法人等とみな される法人を含みます。

③ 人格のない社団等

⑵ 青色申告書を提出しなかった事業年度の災害 による損失金の繰越し

 法人の各事業年度開始の日前 9 年以内に開始 した事業年度において生じた欠損金額のうちに 災害損失欠損金額がある場合には、その災害損 失欠損金額に相当する金額は、欠損金額控除前 の所得の金額の100分の80相当額を限度として、 損金の額に算入することとされています(法法 58①)。ただし、中小法人については、欠損金 額控除前の所得の金額を限度として、損金の額 に算入することとされています(法法58⑥)。

⑶ 連結欠損金の繰越し

(6)

(注) 中小連結親法人とは、各連結事業年度終了 の時において次の法人に該当する連結親法人 をいいます(法法81の 9 ⑧、法令14の10⑥)。 ① 普通法人である連結親法人のうち、資本

金の額若しくは出資金の額が 1 億円以下で あるもの又は資本若しくは出資を有しない もの。ただし、次の法人を除きます。 イ 大法人(次の法人をいいます。)との間

にその大法人による完全支配関係がある 普通法人

・ 資本金の額又は出資金の額が 5 億円 以上である法人

・ 相互会社及び外国相互会社 ・ 法人課税信託に係る受託法人 ロ 普通法人との間に完全支配関係がある

全ての大法人が有する株式及び出資の全 部をその全ての大法人のうちいずれか一 の法人が有するものとみなした場合にお いてそのいずれか一の法人とその普通法 人との間にそのいずれか一の法人による 完全支配関係があることとなるときのそ の普通法人

ハ 相互会社

ニ 法人課税信託に係る受託法人 ② 協同組合等である連結親法人

⑷ 会社更生等による債務免除等があった場合の 欠損金の損金算入

① 会社更生による債務免除等があった場合の 期限切れ欠損金の損金算入

 法人について更生手続開始の決定があった 場合において、その法人が一定の債権につき 債務の免除等を受けたときは、その事業年度 終了の時における前事業年度以前の事業年度 から繰り越された欠損金額の合計額(以下 「設立当初からの欠損金額」といいます。)の うちその債務の免除等による利益の額の合計 額に達するまでの金額は、損金の額に算入す ることとされています(法法59①、法令116 の 3 )。

② 民事再生等による債務免除等があった場合 (一定の評定を行う場合)の期限切れ欠損金

の損金算入

 法人について再生計画認可の決定があった こと等の一定の評定が行われる場合において、 その法人が一定の債権につき債務の免除等を 受けたときは、その事業年度終了の時におけ る設立当初からの欠損金額のうちその債務の 免除等による利益の額の合計額に達するまで の金額は、欠損金額控除前の所得の金額を限 度として損金の額に算入することとされてい ます(法法59②、法令117の 2 )。

③ 民事再生等による債務免除等があった場合 (一定の評定を行わない場合)の期限切れ欠

損金の損金算入

 上記②の場合を除き、法人について再生手 続開始の決定があったこと等の事実が生じた 場合において、その法人が一定の債権につき 債務の免除等を受けたときは、次のイの金額 からロの金額を控除した金額のうちその債務 の免除等による利益の額の合計額に達するま での金額は、この制度の適用前の所得の金額 を限度として損金の額に算入することとされ ています。ただし、青色欠損金等の控除前の 所得の金額が債務免除等による利益の額の合 計額を超える場合には、その青色欠損金等の 控除後の所得の金額から、その超える部分の 金額の20%相当額を控除した金額を限度とす ることとされています(法法59②、法令117 の 2 )。

イ その事業年度終了の時における設立当初 からの欠損金額

ロ 法人税法第57条第 1 項又は第58条第 1 項 の規定によりその事業年度の所得の金額の 計算上損金の額に算入される欠損金額 ④ 解散の場合の期限切れ欠損金の損金算入

(7)

することとされています(法法59③、法令 118)。

イ その事業年度終了の時における設立当初 からの欠損金額

ロ 法人税法第57条第 1 項又は第58条第 1 項 の規定によりその事業年度の所得の金額の 計算上損金の額に算入される欠損金額

2  改正の趣旨及び概要

 平成27年度税制改正においては、法人課税を成 長志向型の構造に変えることを目指し、課税ベー スを拡大しつつ税率を引き下げる法人税改革が実 施されました。このうち課税ベースの拡大等は、 単に財源の確保に留まるものではなく、一部の黒 字企業に税負担が偏っている状況を是正し、広く 負担を分かち合う構造へと改革していくものです。  欠損金の繰越控除は、各事業年度の法人税負担 の平準化を図ることを目的とする制度とされ、諸 外国においても同様の制度が存在していますが、 その適用によって課税ベースが大きく浸食され、 結果として一部の法人に税負担が偏っている状況 にありました。こうした状況を改善することが、 法人税改革の本旨に合致し、法人実効税率の引下 げと相まって、法人課税を広く負担を分かち合う 構造へと改革することにつながるものと考えられ ました。

 欠損金の繰越控除については、平成23年度税制 改正(施行は、平成24年 4 月 1 日)において、同 様の観点から、既にその欠損金の控除限度を所得 の金額の80%相当額(平成23年度税制改正前:所 得の金額)とされているところですが、上記の状 況を改善するとともに、控除制限を受けたくない 企業に対して、収益改善のインセンティブをもた らすことを目指して、段階的に、所得の金額の50 %相当額(改正前:80%相当額)まで一層引き下 げられるとともに、いわゆる繰越期間を10年(改

正前: 9 年)に延長することとされました。  すなわち、法人課税を、「稼ぐ力」のある企業 等の税負担を軽減して、企業の収益力の改善に向 けた投資等を引き出すといった「成長志向型の構 造」に変える見直しです。

 なお、かねてから欠損金を多く抱える企業など に一定の影響が生じ得る見直しであることから、 激変を緩和する趣旨で段階的引下げとしつつ、さ らに地域経済を支える中小法人への影響に特に配 慮して、資本金 1 億円超の大法人に限って控除限 度額の見直しが行われています。

 また、いわゆる大法人についても、段階的とは いえ欠損金の繰越控除の控除限度額が大幅に引き 下げられれば、過去の欠損金の多寡にかかわらず 相応の課税が生ずることとなりますので、再建中 の法人が再建計画の見直しを余儀なくされるとい った影響や、設立後間もない法人の財務基盤の健 全化・安定化が遅れるといった影響などに配慮し、 再建中の法人や新設法人については、一定期間、 所得の全額まで控除を認める特例を創設すること とされました。

3  改正の内容

⑴ 欠損金の控除限度額の縮減

 中小法人以外の普通法人の青色欠損金の控除 限度額が、次のとおり、段階的に引き下げられ ました(法法57①、改正法附則27②)。災害損 失金についても同様とされました(法法58①、 改正法附則27②)。

・ 法人の平成27年 4 月 1 日から平成29年 3 月 31日までの間に開始する事業年度��欠損金 額控除前の所得の金額の100分の65相当額 ・ 法人の平成29年 4 月 1 日以後に開始する事

(8)

(参考 1 ) 控除限度額及び対象事業年度の推移

 連結納税制度の場合についても同様に、中小 法人以外の普通法人である連結親法人の連結欠 損金の控除限度額が、次のとおり、段階的に引 き下げられました(法法81の 9 ①一ロ、改正法 附則30②)。なお、特定連結欠損金額の控除限 度額の計算の基礎となる控除対象個別所得金額 については、引き下げられていません。

・ 連結親法人の平成27年 4 月 1 日から平成29 年 3 月31日までの間に開始する連結事業年度 ��連結欠損金額控除前の連結所得の金額の 100分の65相当額

・ 連結親法人の平成29年 4 月 1 日以後に開始 する連結事業年度��連結欠損金額控除前の 連結所得の金額の100分の50相当額

(参考 2 ) 連結欠損金額に係る限度超過額の計算

平成

7 年⇒ 9 年

(23.12改正) (23.12改正)10割⇒ 8 割 8 割⇒6.5割(27改正)

6.5割⇒ 5 割 9 年⇒10年 (27改正)

(年度) 17

⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑧ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑦ ⑧

⑨ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑦ ⑧ ⑨

⑩ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

8 割

6.5割

6.5割

5 割

5 割

18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42

<原則>

控 除 限 度 と な る

連 結 所 得 金 額 控 除 対 象 と な る連 結 欠 損 金 額

○ 一号の金額(イ+ロ) ○ 二号の金額

○ 一号の金額と二号の金額との比較

イ 特定連結欠損金額のうち繰越控除されない部分

ロ 特定連結欠損金額以外の連結欠損金額のうち、繰越控除されない部分 個別所得

控除前連結 所得金額

控除前調 整連結所 得金額

連結欠 損金額

控除前連結 所得金額

控除前調 整連結所 得金額

連結欠 損金額

一号の金額

(注)「一号の金額<二号の金額」の場合には、連結    欠損金額に係る限度超過額は、二号の金額

二号の金額

連結所 得金額

連結欠 損金額 特定連結

欠損金額 各連結法人の

特定連結欠損 金個別控除額 の合計額

連結法人 A 連結法人 B

特定分以外の 連結欠損金額

連結法人 C

ロの金額

A B Ⓑ C Ⓒ

個別欠損 個別所得 個別欠損 個別所得 個別欠損

各連結法人

の合計額イの金額

Ⓒ D

【改正前】 80%

【改正前】

【改正前】

左の 50% C

B C

B A

Ⓒ Ⓑ Ⓑ Ⓐ Ⓐ

D

【改正前】 80% 左の 50% C B

Ⓒ Ⓓ

Ⓑ A

連結欠損金額に係る限度超過額 (連結欠損金額のうち繰越控除

(9)

⑵ 中小法人以外の法人の欠損金の控除限度額が 所得の金額となる事業年度の特例

 今般、再建中の法人や新設法人については、 その再建プロセスへの影響や会社創設期におけ る影響に配慮して、所得の全額まで控除を認め る特例が創設されました。

 すなわち、法人の欠損金の繰越控除の適用を 受ける事業年度(以下「控除適用年度」といい ます。)が、特例事業年度のいずれかに該当す る場合には、中小法人と同様に、その控除適用 年度の控除限度額は、欠損金額控除前の所得の 金額とされました(法法57⑪二・三)。これに より、欠損金額控除前の所得の金額の65%又は 50%相当額ではなく、その100%相当額までを 限度に欠損金額に相当する金額を損金の額に算 入することとなります。

 ただし、特例除外事業年度である控除適用年 度にあっては、この特例の対象から除外されて いますので、その控除限度額は、原則どおり、 欠損金額控除前の所得の金額の65%又は50%相 当額となります。

 なお、災害損失金についても同様とされまし た(法法58⑥二・三)。また、連結納税制度の 場合についても同様とされ、連結親法人の連結 欠損金の繰越控除の適用を受ける連結事業年度 (以下「控除適用連結年度」といいます。)が、 特例事業年度のいずれかに該当する場合(特例 除外事業年度である場合を除きます。)には、 その控除適用連結年度の控除限度額は、連結欠 損金額控除前の連結所得の金額とされました (法法81の 9 ⑧二・三)。

(注 1 ) 控除適用年度終了の時において中小法人 に該当する法人又は控除適用連結年度終了 の時において中小連結親法人に該当する連 結親法人は、本特例の対象から除外されて いますが、これらの法人又は連結親法人は、 今般の控除限度額の引下げの対象外である 中小法人又は中小連結親法人として、引き 続き、欠損金額控除前の所得の金額又は連 結欠損金額控除前の連結所得の金額が、そ

れぞれの控除限度額とされています(法法 57⑪一、58⑥一、81の 9 ⑧一)。

(注 2 ) いわゆる再建中の法人については、我が 国企業・産業の再生の円滑化、加速化の観 点から、迅速かつ確実な再建につなげるこ とが重要であるとされ、法人税法上も、会 社更生法等の法的整理が行われる法人等に ついて期限切れ欠損金の損金算入等により 債務免除益への課税が実質的に免除され得 る制度が講じられ、こうした法人の早期の 事業再生が図られてきたところですが、こ のような既存の企業再生税制との制度矛盾 が生じないためにも、また、バランスを取 る意味においても、再建中の法人について、 上記の特例を設ける必要がありました。なお、 平成23年度税制改正において、欠損金の繰 越控除の控除限度額が所得の金額の80%相 当額とされた際にも、同様に、一定の事業 再生途上の法人について所得の金額の100% 相当額とする経過措置が講じられています。 (注 3 ) 設立後間もない法人は、一般に、事業が

軌道に乗るまで収入が安定しない中、設立 投資の回収等で費用が相当程度発生するな ど、赤字に陥りやすく、また、在庫を抱え る等により資金が不足しがちであるなど、 中小法人と同様にぜい弱な財務状態にあり、 上記の特例により、極力早期に累積欠損を 解消して財務基盤を改善しつつ、資金の流 出を抑えることで、事業拡張につなげてい くことが必要と考えられました。

① 再建中の法人の特例事業年度

(10)

た連結事業年度とされています(法法81の 9 ⑧二)。

イ 更生手続開始の決定があった場合におけ るその更生手続開始の決定の日からその更 生手続開始の決定に係る更生計画認可の決 定の日以後 7 年を経過する日までの期間 (以下「更生期間」といいます。)内の日の

属する事業年度(連結事業年度)

 ただし、更生期間内にその更生手続開始 の決定に係る次の事実が生じた場合には、 その更生手続開始の決定の日から次の事実 が生じた日までの期間内の日の属する事業 年度とされています(法法57⑪二イ、法令 112⑮)。つまり、次の事実により更生手続 が終了した場合には、更生期間として 7 年 間を確保する必然性が乏しいということで す。

イ その更生手続開始の決定を取り消す決 定の確定

ロ 更生手続廃止の決定の確定 ハ 更生計画不認可の決定の確定

ロ 再生手続開始の決定があった場合におけ るその再生手続開始の決定の日からその再 生手続開始の決定に係る再生計画認可の決 定の日以後 7 年を経過する日までの期間 (以下「再生期間」といいます。)内の日の

属する事業年度(連結事業年度)

 ただし、再生期間内にその再生手続開始 の決定に係る次の事実が生じた場合には、 その再生手続開始の決定の日から次の事実 が生じた日までの期間内の日の属する事業 年度とされています(法法57⑪二ロ、法令 112⑯)。つまり、次の事実により再生手続 が終了した場合には、再生期間として 7 年 間を確保する必然性が乏しいということで す。

イ その再生手続開始の決定を取り消す決 定の確定

ロ 再生手続廃止の決定の確定 ハ 再生計画不認可の決定の確定

ニ 再生計画取消しの決定の確定

ハ 法人税法第59条第 2 項に規定する政令で 定める事実が生じた場合におけるその事実 が生じた日から同日の翌日以後 7 年を経過 する日までの期間内の日の属する事業年度 (連結事業年度)

 「法人税法第59条第 2 項に規定する政令 で定める事実」とは、法人税法施行令第 117条に規定する事実ですが、再生手続開 始の決定があった場合の特例事業年度は上 記ロの事業年度となりますので、「再生手 続開始の決定があったこと」は、ハの対象 となる事実から除かれています。具体的に は、次の事実をいいます(法令117二~五)。 イ 法人について特別清算開始の命令があ

ったこと

ロ 法人について破産手続開始の決定があ ったこと

ハ 法人税法施行令第24条の 2 第 1 項に規 定する事実

ニ 再生手続開始の決定があったこと及び イからハまでの事実に準ずる事実。ただ し、更生手続開始の決定があったことは 除かれます。

(注) 準ずる事実については、法人税法第 59条第 2 項の規定の適用における取扱 いと同様になるものと考えられていま すので、具体的には、更生手続開始の 決定があったこと、再生手続開始の決 定があったこと及びイからハまでの事 実以外において法律の定める手続によ る資産の整理があったこと等となる (法人税法基本通達12- 3 - 1 )と思わ

れます。

 すなわち、上記1 ⑷②及び③の適用があ

る事実が生じた法人のその事実が生じた日 から同日の翌日以後 7 年を経過する日まで の期間内の日の属する事業年度は、特例事 業年度となります。

(11)

債の整理に関する計画の決定又は契約の締 結で、第三者が関与する協議によるものが あった場合におけるそのあった日から同日 の翌日以後 7 年を経過する日までの期間内 の日の属する事業年度(連結事業年度)  ニの対象となる事実は、更生手続開始の 決定があったこと、再生手続開始の決定が あったこと及び法人税法第59条第 2 項に規 定する政令で定める事実に準ずるものです が、具体的には、次のものとされています (法令112⑰、法規26の 3 の 2 ③)。

イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準 により債務者の負債整理を定めているも の

ロ 行政機関、金融機関その他第三者のあ っせんによる当事者間の協議によるイに 準ずる内容の契約の締結

(注) これらは、仮装経理に基づく過大申 告の場合の更正に伴う法人税額の還付 の特例における一定の事業再生の事実 が生じたときの還付請求の対象となる 事業再生の事実と、同様のものとなっ ていますので、その特例における取扱 いと同様になるものと考えられていま す。上記ハニのようなバスケットクロ ーズに加え、このような規定が措置さ れていることにより、法人税法第59条 の規定の適用の有無にかかわらず、平 成23年度税制改正において措置された 再建中の法人に係る控除限度額の縮減 等に関する経過措置(下記参照)の 対象となる事実は、もれなく、本特例 の対象となる事実になるものと考えら れています。

(参考 3 ) 再建中の法人の控除限度額及び対象事業年度の推移

 なお、再建中の法人の特例事業年度につい て本特例の適用を受けるためには、確定申告 書、修正申告書又は更正請求書に特例事業年 度の基因となる事実が生じたことを証する書 類の添付が必要とされています(法法57⑫) が、税務署長は、その書類の添付がない確定 申告書、修正申告書又は更正請求書の提出が あった場合においても、その添付がなかった ことにつきやむを得ない事情があると認める

ときは、適用することができることとされて います(法法57⑬)。災害損失金についても 同様です(法法58⑦⑧)。また、連結納税制 度の場合についても、同様とされています (法法81の 9 ⑨⑩)。

(注 1 ) 修正申告書とは、国税通則法第19条第 3 項に規定する修正申告書をいい、更正 請求書とは、同法第23条第 3 項に規定す る更正請求書をいいます(法法 2 三十六・

⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑦ ⑦

⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑧ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑦ ⑧

⑨ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑦ ⑧ ⑨

⑩ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

⑦ ⑧

⑨ ⑥ ⑤ ④ ③ ② ①

8 割

6.5割

10割

10割

5 割 5 割 18

17 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42

再生手続 開始決定

再生計画 認可決定

再生計画認可決定の日から 7 年を経過する日 (再上場等の日以後に終了する事業年度を除く。)

7 年 平成

(12)

三十七の二)。

(注 2 ) 再建中の法人の特例事業年度に係る本 特例は、書類添付の有無による、いわば 法人の随時選択制といえます。ただし、 上記イからハまでのとおり、法人税法第 59条第 1 項又は第 2 項の適用対象となる 事実は、これらの特例事業年度の基因と なる事実となりますので、同条の適用に おいて別途の書類添付要件があることを もって、同一の事実に基づき、同条のみ 又は本特例のみの適用を受けるといった ことは、想定されないものと考えられて います。なお、連結納税制度の場合には、 連結親法人が再建中の法人であるときに 本特例の適用がありますので、連結子法 人が同条の適用を受ける場合には、同条 のみの適用もあり得ます。

② 再建中の法人の特例除外事業年度

 法人の事業の再生が図られたと認められる 事由が生じた場合におけるその事由が生じた 日以後に終了する事業年度とされています。 具体的には、控除適用年度が上記①イからニ までの事業年度のいずれに該当するかに応じ た次の事由が生じた日以後に終了する事業年 度とされています(法法57⑪二、法令112⑭)。 災害損失金についても同様です(法法58⑥二、 法令116の 2 ⑤)。また、連結納税制度の場合 についても同様ですが、連結親法人の控除適 用連結年度が上記①イからニまでの連結事業 年度のいずれに該当するかに応じた次の事由 が生じた日以後に終了する連結事業年度とさ れています(法法81の 9 ⑧二、法令155の21 の 2 ①)。

イ 上記①イの事業年度(連結事業年度)に あっては、その更生手続開始の決定の日以 後に生じた次の事由

イ その法人の発行する株式又は出資が金 融商品取引所等に上場されたこと  金融商品取引所等とは、金融商品取引 法第 2 条第16項に規定する金融商品取引

所のほか、これに類するもので外国の法 令に基づき設立されたものを含んだもの をいいます(法令112⑭一イ)。つまり、 東京証券取引所の市場第一部等において 株式が公開されたこと(売買が可能とな ったこと)です。

ロ その法人の発行する株式又は出資が店 頭売買有価証券登録原簿に登録されたこ と

 店頭売買有価証券登録原簿とは、金融 商品取引法第67条の11第 1 項の店頭売買 有価証券登録原簿をいいます。つまり、 日本証券業協会に備える店頭売買有価証 券登録原簿に登録されて、店頭売買有価 証券となることですが、現在、日本証券 業協会では店頭売買有価証券市場を開設 していないため、新たな店頭売買有価証 券市場が開設されない限り、該当する事 由は生じないこととなります(平成16年 12月13日前の登録のみが該当)。 ハ その法人のその更生手続開始の決定に

係る更生計画で定められた弁済期間が満 了したこと

(13)

生手続開始の決定を基因とする特例事業 年度に該当する控除適用年度における特

例除外事業年度の起算点となる事由(ト リガー)には該当しません。

(参考 4 )  2 以上の特例事実が生じた場合の特例事業年度

①からみると100%控除の適用不可 7 年

100%控除

関連させる必要性 100%控除

影響を遮断 <イメージ 1 >

100%控除 (50%控除)

100%控除

<イメージ 2 >

【一定の私的整理の事実((株)地域経済活性化支援機構(機構)による買取決定等)が生じた場合における事業再生】 7 年

100%控除

7 年 100%控除

(50%控除)

(50%控除) 『「当該事実」に係る事業年度』と

規定することにより、100%控除で きる事業年度とその原因となった 事実とをひも付け

特例の卒業事由を特例の基 因となった事実ごとに定め ることにより、③の事由が ②の事実に係る事業年度に 係る事由とならないように 遮断

⑤は、②及 び③の 事 実 に 係 る事業の再生が図られたと 認められる事由にそれぞれ 該当することから特例適用 が終了する

  弁

  画

①からみると100%控除の適用不可 7 年

100%控除

関連させる必要性 100%控除

影響を遮断 <イメージ 1 >

100%控除 (50%控除)

100%控除

<イメージ 2 >

【一定の私的整理の事実((株)地域経済活性化支援機構(機構)による買取決定等)が生じた場合における事業再生】 7 年

100%控除

7 年 100%控除

(50%控除)

(50%控除) 『「当該事実」に係る事業年度』と

規定することにより、100%控除で きる事業年度とその原因となった 事実とをひも付け

特例の卒業事由を特例の基 因となった事実ごとに定め ることにより、③の事由が ②の事実に係る事業年度に 係る事由とならないように 遮断

⑤は、②及 び③の 事 実 に 係 る事業の再生が図られたと 認められる事由にそれぞれ 該当することから特例適用 が終了する

  弁

  画

(14)

ニ その法人のその更生手続開始の決定に 係る更生債権の全てが債務の免除、弁済 その他の事由により消滅したこと

(注) 更生債権とは、会社更生法第 2 条第 8 項に規定する更生債権、金融機関等 の更生手続の特例等に関する法律第 4 条第 8 項に規定する更生債権及び同法 第169条第 8 項に規定する更生債権をい います(法令112⑭一ニ)。

 つまり、その法人に対する更生手続開 始前の原因に基づいて生じた財産上の請 求権等(更生担保権又は共益債権は除か れます。)が消滅し、相応する債務が事 実上なくなることです。更生計画に定め るところによるものか否かや完済による ものか否かといった適否はありません。  ただし、その法人以外の者でその法人 の事業の更生のために債務を負担する者 がその法人のその更生手続開始の決定に 係る更生計画において明示されている場 合において、その者が、その更生計画に おいて定められている債務を負担したと きは、その負担によりその者がその法人 に対して有することとなった債権及びそ の更生債権の全てが債務の免除、弁済そ の他の事由により消滅したこととされて います(法令112⑭一ニ)。これは、更生 計画策定の際に予めスポンサーとなる者 が決まっている場合等において、更生計 画に従ってそのスポンサーとなる者が更 生債権を肩代わりし(負担し)、これに 基因してその法人に対する債権をそのス ポンサーとなる者が有することとなる一 連の場面であり、その場合には、更生債 権のみならず、そのスポンサーとなる者 が有することとなったその法人に対する 債権も消滅して、その法人のこれらに相 応する債務が全てなくなったことが該当 します。

 いずれであっても、その法人の一定の 債務負担がなくなるといった実質的な事 由といえます。

 なお、特例事業年度の基因となった更 生手続開始の決定に係る更生債権とされ ていますので、 2 以上の更生手続開始の 決定があったとしても、上記ハと同様に、 一方の更生債権の消滅が、他方の更生手 続開始の決定を基因とする特例事業年度 に該当する控除適用年度における特例除 外事業年度の起算点となる事由(トリガ ー)には該当しません。

ロ 上記①ロの事業年度(連結事業年度)に あっては、その再生手続開始の決定の日以 後に生じた次の事由

イ その法人の発行する株式又は出資が金 融商品取引所等に上場されたこと ロ その法人の発行する株式又は出資が店

頭売買有価証券登録原簿に登録されたこ と

ハ その法人のその再生手続開始の決定に 係る再生計画で定められた弁済期間が満 了したこと

 再生計画とは、再生債権者の権利の全 部又は一部を変更する条項その他の民事 再生法第154条に規定する条項を定めた 計画をいい(民事再生法 2 三)、その計 画によって債務の期限が猶予される際に 定められた債務の期限までの期間が、一 般に再生計画で定められた弁済期間とな ります。したがって、通常は、計画どお り債務の弁済が完了した場合となります が、計画の遂行の成否にかかわらない形 式的な事由といえます。

 なお、 2 以上の再生手続開始の決定に 係る再生計画があった場合の取扱いは、 上記イハと同様です。

(15)

その他の事由により消滅したこと

(注) 再生債権とは、民事再生法第84条に 規定する再生債権をいいます(法令112 ⑭二ニ)。

 つまり、いかなる要因かを問わず、そ の法人に対する再生手続開始前の原因に 基づいて生じた財産上の請求権等(共益 債権又は一般優先債権は除かれます。) が消滅し、相応する債務が事実上なくな ることです。

 ただし、その法人以外の者でその法人 の事業の再生のために債務を負担する者 がその法人のその再生手続開始の決定に 係る再生計画において明示されている場 合において、その者が、その再生計画に おいて定められている債務を負担したと きは、その負担によりその者がその法人 に対して有することとなった債権及びそ の再生債権の全てが債務の免除、弁済そ の他の事由により消滅したこととされて います(法令112⑭二ニ)。これは、上記 イニと同様の場面であり、その場合には、 再生債権のみならず、スポンサーとなる 者が有することとなったその法人に対す る債権も消滅して、その法人のこれらに 相応する債務が全てなくなったことが該 当します。

 いずれであっても、実質的な事由とい えます。

 なお、 2 以上の再生手続開始の決定が あった場合の取扱いは、上記イニと同様 です。

ハ 上記①ハ又はニの事業年度(連結事業年 度)にあっては、上記①ハイからニまでの 事実又は上記①ニの計画の決定若しくは契 約の締結(以下「特例事実」といいます。) が生じた日以後に生じた次の事由

イ その法人の発行する株式又は出資が金 融商品取引所等に上場されたこと

ロ その法人の発行する株式又は出資が店 頭売買有価証券登録原簿に登録されたこ と

ハ その法人のその特例事実に係る再建計 画で定められた弁済期間が満了したこと  再建計画とは、債務処理に関する計画 をいい、弁済期間とは、その法人が事実 発生前債権に係る債務の弁済をする期間 をいいます(法令112⑭三ハ)。したがっ て、通常は、その再建計画どおり債務の 弁済が完了した場合となりますが、再建 計画の遂行の成否にかかわらない形式的 な事由といえます。

(注) 事実発生前債権とは、その法人に対 する金銭債権で特例事実の発生前の原 因に基づいて生じたものをいいます (法規26の 3 の 2 ②)。

 なお、 2 以上の特例事実に係る再建計 画があった場合の取扱いは、上記イハと 同様です。

ニ その法人のその特例事実に係る事実発 生前債権の全てが債務の免除、弁済その 他の事由により消滅したこと

 つまり、いかなる要因かを問わず、事 実発生前債権が消滅し、相応する債務が 事実上なくなることです。

(16)

る者が有することとなったその法人に対 する債権も消滅して、その法人のこれら に相応する債務が全てなくなったことが 該当します。

 いずれであっても、実質的な事由とい えます。

 なお、 2 以上の特例事実が生じた場合 の取扱いは、上記イニと同様です。  また、特例事実が再生支援によるもので ある場合には、その特例事実が生じた日以 後に生じた上記イの事由、上記ロの事由又 はその法人のその再生支援に係る全ての業 務が完了したこととされています(法令 112⑭三)。つまり、株式会社地域経済活性 化支援機構又は株式会社東日本大震災事業 者再生支援機構が関与する特例事実のうち 再生支援によるものについては、その再生 支援における法令上のこれらの機構の果た すべき役割、再生に係る特別な枠組み等を 踏まえ、上記ハ又はニのような弁済期間の 満了や債務の完済等といった事由をもって 直ちに特例除外事業年度の起算点となる事 由(トリガー)とはせずに、これらの機構 が、その再生支援の対象である認定事業者 に対する業務を完了する意思決定をしたこ とをもって、そのトリガーとするものです。 なお、上記イ及びロの事由にあっては、こ れらの機構の関与の有無にかかわらず、普 遍的なトリガーと考えられています。

(注) 再生支援とは、①株式会社地域経済活 性化支援機構法第24条第 1 項に規定する 再生支援のうち、同法第28条第 1 項に規 定する買取決定又は同法第31条第 1 項に 規定する出資決定が行われるもの、②株 式会社東日本大震災事業者再生支援機構 法第18条第 1 項に規定する再生支援のう ち、同法第22条第 1 項に規定する買取決 定又は同法第25条第 1 項に規定する出資 決定が行われるもののいずれかとされて

います(法令112⑭三、法規26の 3 の 2 ①)。

 すなわち、本特例の対象となった法人が、 その後、金融商品取引所への再上場に至った 場合等、上記イからハまでの事由が生じた場 合には、再建がかなりの程度進んでおり、も はや配慮する必要に乏しいと考えられること から、これらをいわば本特例の卒業事由とし て、卒業事由が生じた日以後の事業年度は特 例の対象とはせず、原則どおりの控除制限 (欠損金額控除前の所得の金額の50%等)を

適用することとされているものです。  なお、控除適用年度が、 2 以上の特例事業 年度に該当するとしても、各特例事業年度の 基因となる事実に応じた卒業事由がある前提 とされています(法令112⑭)ので、一方の 特例事業年度に係る卒業事由が、他方の特例 事業年度に該当する控除適用年度における特 例除外事業年度の起算点となる卒業事由(ト リガー)には該当しません。

(参考) 該当の有無については、上記の「(参考 4) 2 以上の特例事実が生じた場合の特例 事業年度」をご参照ください。

③ 新設法人の特例事業年度

 法人の設立の日から同日以後 7 年を経過す る日までの期間内の日の属する事業年度(以 下「設立以後 7 年内事業年度」といいます。) をいいます(法法57⑪三)。すなわち、新設 法人にあっては、控除適用年度が設立以後 7 年内事業年度に該当する場合に限り、その控 除限度額が欠損金額控除前の所得の金額とな ります。災害損失金についても同様とされて います(法法58⑥三)。

 その法人が合併法人等に該当する場合にお けるその法人の設立以後 7 年内事業年度の起 算日となる設立の日は、次のとおり、その被 合併法人等の設立の日が加味された日とされ ています(法法57⑪三、58⑥三、法令112⑱、 116の 2 ⑥)。

(17)

合併法人とその合併に係る被合併法人の設 立の日のうち最も早い日

ロ その法人が分割承継法人である場合�� その分割承継法人とその分割に係る分割法 人の設立の日のうち最も早い日

(注) 分割により分割法人が行っていた事業 を移転し、分割承継法人がその分割によ りその事業の移転を受け、かつ、その事 業を引き続き行う場合に限られています (法令112⑱二)。

ハ その法人が被現物出資法人である場合 ��その被現物出資法人とその現物出資に 係る現物出資法人の設立の日のうち最も早 い日

(注) 現物出資により現物出資法人が行って いた事業を移転し、被現物出資法人がそ の現物出資によりその事業の移転を受け、 かつ、その事業を引き続き行う場合に限 られています(法令112⑱三)。

ニ その法人との間に、その法人による完全 支配関係又は一の者との間に当事者間の完 全支配関係がある法人相互の関係がある他 の内国法人で、その法人がその発行済株式 又は出資の全部または一部を有するものの 残余財産が確定した場合��その内国法人 とその他の内国法人0 0 0 0 0 0の設立の日のうち最も 早い日

ホ その法人が特別の法律に基づく承継を受 けた法人である場合��その承継に係る被 承継法人の設立の日

(注) 上記のほか、同様の特別な承継を受け た法人等を念頭に、その法人が財務省令 で定める法人に該当する場合について、 財務省令で定める日を設立以後 7 年内事 業年度の起算日となる設立の日とするこ

ととされています(法令112⑱五)が、今 後必要に応じて措置するものとして規定 されているものですので、現行において、 該当する場合はありません。

 また、連結納税制度の場合についても同様 とされており、控除適用連結年度がその連結 親法人の設立の日から同日以後 7 年を経過す る日までの期間内の日の属する連結事業年度 に該当する場合には、その控除限度額が連結 欠損金額控除前の連結所得の金額となります (法法81の 9 ⑧三、法令155の21の 2 ⑤)。

 なお、本特例の対象となる新設法人は、普 通法人に限ることとされるとともに、控除適 用年度終了の時において上記1 ⑴(注)の①イ 若しくはロの大法人との間にその大法人によ る完全支配関係がある普通法人等に該当する 法人又は控除適用連結年度終了の時において 上記1 ⑶(注)の①イ若しくはロの大法人との 間にその大法人による完全支配関係がある普 通法人等に該当する連結親法人及び株式移転 完全親法人は、この新設法人から除外されて います(法法57⑪三、58⑥三、81の 9 ⑧三)。

(注 1 ) 普通法人からは、投資法人、特定目的 会社及び法人課税信託の受託者である法 人(その受託者である個人を含みます。) が除かれています(法法57⑪一イ、81の

9 ⑧一イ、 4 の 7 )。

(18)

(参考 5 ) 新設法人の控除限度額及び対象事業年度の推移

④ 新設法人の特例除外事業年度

 法人に次の事由のいずれかが生じた場合に おけるその事由が生じた日のうち最も早い日 以後に終了する事業年度とされています(法 法57⑪三、法令112⑲)。災害損失金について も同様です(法法58⑥三、法令116の 2 ⑦)。 また、連結納税制度の場合において連結親法 人に次の事由のいずれかが生じたときについ ても同様とされています(法法81の 9 ⑧三、 法令155の21の 2 ⑥)。

イ その法人の発行する株式又は出資が金融 商品取引所等に上場されたこと

ロ その法人の発行する株式又は出資が店頭 売買有価証券登録原簿に登録されたこと

⑶ 欠損金の繰越期間の延長等

① 青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の 繰越期間が、10年(改正前: 9 年)に延長さ れました(法法57①、58①、81の 9 ①)。

(注) これに伴い、法人税に係る純損失等の金 額についての更正の期限が、法定申告期限 から10年に延長されました(通法70②)。ま

た、法人税に係る純損失等の金額の更正の 請求期限は法定申告期限から10年とされま した(通法23①)。詳細については、後掲の 「国税通則法等の改正」をご参照ください。

② 上記①の繰越期間の延長に伴い、青色欠損 金、災害損失金及び連結欠損金の帳簿書類保 存要件における保存期間が、10年(改正前: 9 年)に延長されました(法規26の 3 ①、26 の 5 ①、37の 3 の 2 ①)。

⑷ 民事再生等による債務免除等があった場合 (一定の評定を行わない場合)の期限切れ欠損

金の損金算入(上記 1 ⑷③)との調整

① 青色欠損金等の控除前の所得の金額が債務 免除等による利益の額の合計額を超える場合 に、損金算入限度額をその青色欠損金等の控 除後の所得の金額からその超える部分の金額 の20%相当額を控除した金額とする調整が廃 止されました(法法59②)。

 損金算入限度額の調整は、上記1 ⑷③の適

用を受ける事業年度において、債務免除等を 受けた金額の合計額を超える所得の金額があ 設立の日から 7 年を経過する日

(上場等の日以後に終了する事業年度を除く。) 新設

27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42

④ ③ ② ① 10割

10割 10割

10割 10割

10割 10割

5 割

5 割 5 割

⑨ ⑧

⑦ ⑥ ⑤ ④

③ ② ①

⑧ ⑦

⑥ ⑤ ④

③ ② ①

⑦ ⑩

⑥ ⑤ ④

③ ② ①

⑥ ⑤ ④

④ ③

③ ②

② ①

④ ③ ② ①

③ ② ①

② ①

① ⑤

平成

(19)

る場合には、その超える部分の所得の金額に ついて、欠損金の繰越控除における控除制限 (改正前:欠損金額控除前の所得の金額の80 %相当額)の適用がある場合との課税の公平

を図るものでしたが、上記により、本制度

の適用がある法人は欠損金の繰越控除の控除 限度額が欠損金額控除前の所得の金額とされ たことから、その調整が不要となったもので す。

(注) 本制度による期限切れ欠損金の損金算入 の順序が、会社更生等による債務免除等が あった場合の期限切れ欠損金の損金算入(法 法59①等のいわゆる期限切れ欠損金の優先 控除制度)におけるそれと順序が異なるこ とにより生じていたアンバランスを解消す るため、平成25年度税制改正において措置 されたものですが、再建中の法人の特例が 講じられたことで、今後は、そうしたアン バランスも生じなくなります。

② 上記1 ⑷③の制度により所得の金額の計算

上損金の額に算入される金額がある事業年度 後の各事業年度における青色欠損金額等から

その損金算入額のうち青色欠損金額等から成 る部分の金額をないものとする調整が廃止さ れました(法法57⑤、58③)。

 上記1 ⑷③の制度により所得の金額の計算

上損金の額に算入される金額がある事業年度 (以下「適用事業年度」といいます。)後の各 事業年度においては、適用事業年度開始の日 前 9 年以内に開始した各事業年度において生 じた欠損金額(以下「期限内欠損金額」とい います。)のうちその損金の額に算入される 金額から成る部分の金額は、青色欠損金額及 び災害損失欠損金額からないものとすること とされていました(旧法法57⑤、58③)が、

上記により、本制度の適用がある法人は欠

損金の繰越控除の控除限度額が欠損金額控除 前の所得の金額とされたことから、適用事業 年度後においては期限内欠損金額が全てなく なっており、そのないものとする調整が不要 となったものです。

 なお、上記1 ⑷①及び②については、引き

続き、青色欠損金額等からないものとする調 整が行われます。

(参考 6 ) 民事再生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入

10 14

80 80

10 10

90 90

10 14

青色欠損金

80

損金算入

80

❷期限切れ欠損金の損金算入適用

❷期限切れ欠損金の損金算入適用

当期の所得金額  6

当期の所得金額  0 ❶所得の 8 割制限適用

❶所得金額(注 2 )適用

控除前所得金額 設立当初からの欠損金

【改正前】

【改正後】

期限切れ 欠損金残額

期限切れ 欠損金残額

損金算入 青色欠損金

債務免除益

その他の所得金額

30

70

100 90

20 10 6

4

10 10

10 50

期限切れ 欠損金

50 46

40 期限切れ

欠損金

青色欠損金

90

損金算入

90

損金算入 青色欠損金

50 期限切れ

欠損金 青色欠損金

<イメージ>民事再生等における青色欠損金の損金算入と期限切れ欠損金の損金算入の順序

債務免除益 青色欠損金控除後所得- その他の所得金額 ×20% 70 > 20-30×20%=14

⇒ 控除限度額14 (注 1)

債務免除益 青色欠損金控除後所得 70 > 10

⇒ 控除限度額10

青色欠損金から ないものとされ る金額

※❶の損金算入限度額 が所得金額になるた め、❷の時点で青色 欠損金からないもの とされる金額は存在 しない

(注 1 ) 更生手続開始の決定等があった場合 と期限切れ欠損金の控除順序が違うこと で所得の金額に差異を生じさせないため の調整規定

(20)

③ 連結欠損金額控除前の個別所得金額が債務 免除等による利益の額の合計額を超える場合 の損金算入限度額が、連結欠損金額控除後の 個別所得金額からその超える部分の金額の50 %(改正前:20%)相当額を控除した金額と されました(法令155の 2 ①二)。ただし、連 結親法人事業年度が平成27年 4 月 1 日から平 成29年 3 月31日までの間に開始する連結事業 年度においては、損金算入限度額は、連結欠 損金額控除後の個別所得金額からその超える 部分の金額の35%相当額を控除した金額とさ れています(改正法令附則10②)。

 すなわち、連結納税制度の場合については、

連結親法人が上記1 ⑷③の制度の適用がある

場合にのみ上記①及び②と同様の状況にあり、 連結子法人のみが同制度の適用を受ける際に は、優先控除を適用する場合とのバランス上、 引き続き損金算入限度額の調整が必要となり

ます。このため、上記の改正後の適用に合

わせて、その個別所得金額から控除すべき金 額を、その超える部分の金額の35%(100- 65)相当額又は50%(100-50)相当額とす る改正が行われました。なお、連結子法人が

上記1 ⑷③の制度の適用を受ける際に、期限

内欠損金額に相当する連結欠損金額が全てな くなっているとは限らないことから、上記② と異なり、その適用後の連結事業年度におい て連結欠損金額から同制度による損金算入相 当額をないものとする調整を引き続き存置す る必要がありますので、その調整規定につい て、改正は行われていません。

⑸ 平成23年度改正における控除限度額の縮減等 に関する経過措置

 平成24年 4 月 1 日前に更生手続開始の決定が あったこと等一定の事実が生じた法人の同日以 後最初に開始する事業年度からその事実の区分 に応じた一定の日以後 7 年を経過する日の属す る事業年度までの各事業年度(以下「経過措置 適用年度」といいます。)について、欠損金の 控除限度額を、従来どおり欠損金額控除前の所 得の金額とする経過措置が設けられていました (旧平成23年12月所法等改正法附則14②~④、 旧平成23年12月改正法令附則 6 ③)が、上記

のとおり、同様の制度である再建中の法人の特 例事業年度における欠損金の控除限度額を欠損 金額控除前の所得の金額とする特例が本則化さ れましたので、これに統合することとし、本経 過措置は廃止されました。

 本経過措置の対象であった法人については、 引き続き、欠損金額控除前の所得の金額まで欠

損金の繰越控除が可能になりますが、上記

の再建中の法人の特例除外事業年度に該当する

控除適用年度においては、上記の特例の適用

がありませんので、原則どおり、欠損金額控除 前の所得の金額の65%又は50%相当額が控除限 度額となります。

参照

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